最近の 1on1 のやり方

Atsushi Sakai
May 2, 2023

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近況

まずは近況から。転職して半年が経った (正確には 7ヶ月)。

相変わらず Engineering Manager としての活動が主で、技術そのものももちろんだけど、組織的な課題、特にプロセスとかチーム間の連携とか、曖昧なものを言語化して定義しにいく作業とか、そういうところを拾いにいって暗黙を取り除いていくことを日々やっている。あとは、飲み会( = 関係性づくり)を企画してみたり。

段々と自組織の価値観が身に付いてきて、会話のしやすさだったりとか問題提起の手段みたいなものがフィットしてきている感覚はある。

1on1 に期待すること

さて、そんな中でもう何度目になるだろうかという、 1on1 の大切さを改めて振り返っている。

というのも、前職はほとんど全てのエンジニアの採用や異動に関わってきていたので、メンバーがそれぞれどのような指向性があり、どこを得意・苦手としているか、など、チームメンバーに関する前提情報がたくさんある状態だった。

転職後はすでにそこにいるエンジニアのマネジメントを行うことになったわけで、前提情報を作っていくことから始めなければいけなかった。その手段として 1on1 は本当に重要で貴重な時間で、この時間をいかに有効に使っていくかが自分にとって、とても大きなイシューなのであった。

自分にとって 1on1 はすべてのマネジメント活動の思考のエントリポイントであり、大事な振り返りポイントでもある。

1on1 とは一体何か

自分が考えている 1on1 とは一体何か、について。

1on1 は、進捗を知るための手段ではもちろんないし、メンバーのことを知ることだけが目的でもない。自分が考える 1on1 のあるべき姿は、メンバーはもちろん、その人を取り巻く環境 (マネージャー自身も含む) を全体で捉えて、それぞれがどう変化しているかを察知し、言語化しながら、チューニングさせていくための活動であると考えている。

ここで重要なのが「変化」で、人はもちろん、環境も常に変化していくのが常である。変化に対して、メンバーがどういう心理で向き合っているか、自分がどういう心理で向き合っているか、はたまた、環境がどこに・どういう形で影響しているか、などを確認しあって、それぞれが相対的にどういう場所に立っているか、現在地を掴んでいくような会話をするように心がけている。

順序としては、こんな感じで話を進めるように脳内で整理している。

  1. 周囲や自分の状況に変化があったかどうかを確認する
  2. その変化に対してメンバーとマネージャーである自分がどう感じているかを率直に語り合う
  3. 変化をポジティブに捉えている場合は、お互いに背中を押し合えるような会話をする
  4. もし、変化をネガティブに捉えている場合は、変えられるのはどこか、チューニングする手段を探る

最後に書いた通り、まさにチューニングしていく作業で、この感覚がとても強い。もちろん、最終的には目標とセットで考えなければいけないことで、チューニングされた結果、設定した目標に向き合えるように自分か環境か、はたまたマネージャー(ここでは目標とかマネジメントのためのツールもその対象かも) をポジティブな方向に変化させていく作業と考えている。

1on1 で大切にしていること

自分が 1on1 を実施する上で大切にしていることはいくつかある。

まず、無理はしない・させないこと。上記の通り、チューニング作業であるのは確かだが、そのために「コーチング的な会話をしないと」とか「傾聴ちゃんとできてるかな」というのはあまり気にしていない。相手にも「自己開示してくれ」という要求を強く求めすぎてはいけない。まずは、自然な会話が当たり前にできることを目指す。相手の変化に気づけるように平凡な会話を継続してできること、というのを一番大切にしている。

もちろん、こちらも調子が悪いことがある。悩みがあったり、体調がわるかったり、そういうこともちゃんと伝えて、状態をオープンにすることで人間的であることをしっかり表現するようにしている。今時、ChatGPT と話せばある程度良い返答されてしまいますからね。「人間と話している」という感覚を持ってもらうことは、現代 1on1 における重要な要素です。

あとは、ツールを使うようにしている。ツールと言っても大したものではなく、話をするためのネタ帳のようなもの。これまでのマネージャーキャリアで数十人と定期 1on1 を繰り返してきて思うのは、1on1 は、メンバー側として、とても上手い人がいる一方で、それほど自己開示が得意でない人もそれなりにいる。本音で話したいのに、どこから・どういう手段で話せば良いのかがわからない、といったイメージ。そういう人向けの色々なツールを用意している。

ここ半年で使ってみてよかったなー、と思ったツールは、「リーダーの作法―ささいなことをていねいに」に出てくる「プロフェッショナルとしての成長をはかる質問表」である。これは、これまでのキャリアについてや、受けてきたフィードバックについて網羅的に dump できるとても良いツールだった。

この「プロフェッショナルとしての成長をはかる質問表」を回答してもらって、また、自分も同じものに回答をして、1on1 の時にお互いの回答を見せ合いながら、何週にもわたって語り合う。そうすることで、これまでのキャリアや入社してからの自分が知らなかった過去の状況の変化を頭に入れることができた。同時に、こちらのここまでの変化もインプットしてもらうこともできる。

普通に会話していて面白いネタになるので、オススメです。

ただし、いきなり深いところを掘り出していくような作業なので、ちゃんと信頼関係を作ってからやった方が良いです。初手でここに書かれているような質問をされると、さすがに面食らっちゃうと思います。

1on1 は楽しい

信頼関係を築くことができると、なんとなく調子が出ない時は「ちょっともう今日はやめときません?」と短時間で解散しても良いのです。でも、その「やめときません?」をちゃんと面と向かって伝えることが重要で、「今日はSKIPで〜」というのはやめるようにしています。もちろん、祝日とかでどうしても都合がつかない時とか、体調悪い時、急遽別件でどうしても実施できない時、というのはありますが。

「1on1 で大切にしていること」にも書いた通り、まずは純粋な人間同士の会話として、無理をしないことに気づける・気づかせてあげると、1on1 の場できっと楽しく会話できるようになるんじゃないかな、と思う。

とりあえず、以上!!!!!!!

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