組織の壁みたいなもの

Atsushi Sakai
5 min readMar 5, 2020

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会社のブログではないでのあくまで個人の雑記です。

数日前に話題になっていたこれを読んだ。ちょっと超大作だったのでもう内容がほとんど頭から飛んでいるけど、壁を倒してきた経緯がリアリティ持ってまとめられていて素晴らしかった。

経営者ではないけど、自分は5年以上、とあるプロダクト開発組織の初期のメンバーとして関わってきている。

その組織内のエンジニアリングマネージャーであるのと同時に、なんとなく、組織全体の空気感だったりとか慣習を作ってきたうちのひとりだと今振り返ると思う。多分、在籍期間が長いのと、組織のほぼ半分がエンジニアで、それをマネジメントする立場だから自然とそういう立場も引き受け続けてきたのかなーと思う。

そういう中で、やっぱり組織の壁は存在していたし、今もかなりソレと戦っている。5人くらいで開発を始めた当初はしばらくは、非常に良い意味で本当に好き勝手にプロダクト開発を楽しんでいた気がする。

10~15人くらいまでは大体そんな感じで、カオスだけどそれを楽しむ、みたいなことができていたように記憶している。ただ、最初の壁はやっぱり30人くらいのところにあった。例えば、

  • 全員参加の会議(スクラムイベント)に取られる時間がつらい
  • 会議の内容を聞いていても話がわからない
  • カオスすぎて、そもそも仕事がどこにあって何を求められているか判断できない

例えば上記みたいな具体的な事柄か課題に上がってきていた。で、流石にバランス取っていかないとヤバイ、という思いで、みんなで相談しながらいろいろな改善をやってきた。

  • 自分の配下の開発チームは専門分野ごとに3つに分割
  • メインのスクラムチームは2つに分割(LeSS導入)
  • 会議・スクラムイベントへの参加者をバッサリ減らす
  • その他、定例会議は廃止もしくは30分以内に終えることにする
  • 誰が拾うべきかわからない仕事は当番制にして持ち回りでやることに

など…書ききれないけど大小色んな施策を頭を捻って打ってきた。

その甲斐あって、大体整備されてきて、これでみんなスイスイ仕事できるやろ、と思っていたら今度は50人くらいになって、確かにまた壁が現れているぞ…、というのが今…。

いろいろと課題はあるけど、これから目指していきたいのは「組織内の人・チーム同士が強く依存しあわないこと」であると思っている。つまり、「あの人・チームが何をやっているかを知り続けていないと不安(と思い込んじゃう)」「あの人・チームが成果物を出さないと自分の仕事が着手できない(と思い込んじゃう)」みたいなのをなくしていきたい。

これまでは、組織内のほとんど全ての情報を、かなりたくさんの時間を使ってメンバー間に流通させて、全員で合意をとることに労力をかけていたけど、そういうスタイルは今後はやめようと思っている。

というのも、ここまで組織が大きくなってくると流通させるための情報を、量も正確性も気にしながら揃えて共有する側も辛いし、それを正確にインプットする側も情報過多になってどんどんキツくなってくる。なので、情報に対してのオープンさは最重要だが、不必要に情報を流通させることはやめて、情報にたどり着きたい人が勝手にたどり着けるところまででいいんだな、という気がしている。最近は、情報をアウトプットする側に対して、インプットする側が絶対に頭に入るような情報量と整理の仕方を求めている。(内部での細かい議論とかはそっちでまとめといてね、気になった時には聞くから、くらいの感じ。)

もう一個、この規模の組織で重要なのが「性善説」だと思っていて、基本は「みんな良い仕事をするために間違った判断をするはずはないから、他のチームや判断い依存しすぎず、安心して自分の仕事に取り組もう」という姿勢を強く推奨するようにしてきてしている。

「性善説」は、別に精神論として「他人を無為に信じなさい」とかいうことではない。人間なので全ての判断に合理性があるわけではない、という前提にちゃんと立ち、非合理なことをコンパイラのようにいちいちチェックしていたらもうキリがないから、とりあえず各人・各チームの情報のインターフェースに従っておこう、間違ったら、そのバグを直そうという感覚で使っている。

あとは、まわりを眺めていると、FatController みたいな人とか部署がどうしても存在していることがあるので、そういう人・部署を見つけたら、そっと声をかけて、横から情報を整理しつつ、その人たちの仕事に型をつくる支援をしたりするように心掛けている。

なんとなく、「強い依存を減らす」「インターフェースに従う」「型をつくる」ということなんだけど、これってプログラミングにおけるリファクタリングと一緒じゃん、と思って、最近は気軽に組織作りをしていて、結構楽しくなってきた。

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